~震災で支援が必要な人への避難計画づくり~

時論公論
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2011年3月11日に東日本大震災があってから、ちょうど10年が経ちます

命を落とした人のおよそ6割が65歳以上の高齢者で、障害があった人の死亡率は被災住民の全体で2倍だったことが明らかになっています

その後の各地での災害でも、多くの支援が必要な人が逃げ遅れたり、その後の避難生活で厳しい状況を強いられたりしていました。支援が必要な人たちの災害対策を考えていきます。

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3月9日の時論公論~震災の中、障害があっても取り残されない地域づくり

解説委員:竹内哲哉(福祉担当)

◆障害のある人たちへのアンケート◆(2020年12月~2021年1月)

昨年12月から今年の1月までにNHKが障害がある人にしたアンケートで、

「ここ数年で被害を受けたり怖い思いをしたかどうか」で、3割の人があると答えた

3割のあると答えた人に「避難ができたか」確認したところ、65%が【避難しなかった、できなかった】と答えている

⇒どうしたら、避難することができるようになるのか

◆2013年 災害対策基本法を改正した

・市町村に【”避難行動要支援者名簿”を義務化した】

・2019年には、消防庁のまとめでは98.9%が作成済みと報告され全てのリストアップまであとわずか

⇒名簿が作られても、近年の災害で高齢者を中心に支援者が必要な人の死亡が続いており生かし切れていない

⇒アンケート結果でも、名簿登録者から「大阪北部地震の際に安否確認の連絡来ず」と報告があり行政から連絡が行き届いていない状況がある、さらに「避難について一切話し合っていない」とも報告が上がっている

◆個別避難計画の重要性

政府は、国会で支援が必要な一人ひとりに合わせた【個別避難計画の努力義務】を市町村に課す災害対策基本法の改正を目指している

これまでも、支援が必要な人へひとりひとりの計画を立てるように推奨してきており
内閣府アンケートでは、7割以上の市町村が計画が必要な人に”推進すべき”と回答している

⇒実際の市町村の個別避難計画は、2019消防庁の報告資料で
全員へ作成が済んでいるのは12.1%しか済んでおらず、半分の5割は一部作成中、37%が未作成と報告されている

◆個別避難計画が進まない要因◆

・計画の作成に拘束力がない

・個別避難計画を作成するためには、支援が必要な人の障害の程度やニーズを把握し

・避難をする際には地域住民の理解や協力を仰ぐ必要がある

・名簿作成と比べて、時間も手間も必要

・個別避難計画をつくるための人材やノウハウ、財源が不十分

⇒個別避難計画を作成するためには、どのような支援が必要か福祉の知識と非難の際にどうやって逃げるのか防災の知識両方が必要になるが、情報の蓄積がされていないため計画が進まない

個別避難計画策定の方向性

市町村が主体となって、支援が必要な人と日常的に接している福祉専門職の人にも参加してもらい自治会と連携させ、日常のケアプランの延長線上の新たな仕事として担ってもらう必要がある

福祉専門職への負担が増えることになるので、持続できるようになるようにしっかり報酬を支払う必要がある⇒報酬は、地方交付税の対象とし国が支援するとしている

モデルの例:別府市のケース

⇒全国で先駆けて、福祉と防災を結びつける専門職を設け、計画を作成する専門職には1件ごとに7,000円を報酬を出して、災害時ケアプランという個別避難計画を作成している
【災害時ケアプラン】①聞き取り ⇒②避難の検討会 ⇒③災害時ケアプラン ⇒避難訓練

①聞き取り:問題の洗い出し(介助がないと転びやすい、長時間歩けない、これがないとパニック等)
②避難の検討会:車いすは急な坂は厳しい、リヤカーはどうか
③災害時ケアプラン:どんな災害の時に、どのタイミングで、どこにどうやって逃げるのか情報共有
④避難訓練:地域全体で避難訓練を実際に実施し、課題を抽出 ⇒さらに対策を練る

*計画づくりをきっかけにして、地域力を上げて、地域のつながりや人材育成も一緒にやっていくことが重要!!

東京都品川区や兵庫県でも始まっているが、全国すべての市町村で早急に整備していく必要がある

優先順位をつけて、危険度の高い人から計画書を作成していくことが大事

◆優先的に計画書をつくる必要がある人◆

・住居がハザードマップの上にある人

・心身の状況に課題がある人

・社会的に孤立している人

⇒障害が重ければ重い人ほど、手厚い支援が必要になる

福祉避難所の課題と解決

課題①受け入れを想定していない被災者が

⇒受け入れ対象者を明確化させる(支援が必要な人と家族のみ)

課題②場所を公表しない市町村がある

⇒必要な人には、場所を公表する(個人情報を守りつつ、必要な人に情報が行き届くようにする)

課題③すべての支援に対応できない ⇒必要な設備がそろっていない

⇒必要な設備がある施設と連携した避難所づくりが必要(避難先を確定し直接誘導する)

支援が必要な人への地域全体への対策も必要ですが

支援が必要な人や家族は地域に頼るだけでなく、防災の知識を備え必要な備えを実施しておく必要があります

避難訓練に参加しておくなど、災害時に協力できるように日常から関係を深めておく必要があります

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