新型コロナをいち早く抑えた中国と未だに感染が広がるアメリカ、2つの国の経済は今後どのように成長していくのでしょうか
2月5日時論公論~回復が遅れるアメリカと一人勝ちの中国
アメリカの現状と経済対策【2020年】
バイデン政権になったアメリカの現在の経済状況はどうなのか
・経済成長率:前年度比ー3.5%(74年ぶりの低水準だった)
・感染者:2,600万人
サービス業を中心に打撃を与えている
・失業率(2021年1月):6.3%(2月5日発表内容)
アメリカ・バイデン新政権の課題と対策【2021年】
コロナ禍において低迷したアメリカ経済回復へバイデン政権が早速対策を発表した
一人当たり日本円で約14万円の現金給付をを含めた200兆円規模の経済対策を実施する
アメリカは景気の下支えに今も必死な状況である
中国の現状と経済対策【2020年】
・経済成長率:前年度比+2.3%
主要国の中で唯一プラス成長で、一人勝ちの状態となった
背景には、経済対策が公共投資を後押しし、感染を抑えられたことにより消費が早期に回復したことと、テレワーク関連製品の需要が伸びて好調だった影響も大きい
中国の新しい政策【2021年】
・一部の地域でコロナ感染が確認され、コロナ対策が再び必要になっていること
・全人代を控え、厳しい行動制限を実施することで消費が低迷する可能性がある
◆中国政府が新たな消費拡大戦略を実施する予定
現状の中国では、農村戸籍と都市戸籍の2つの戸籍がある
農村戸籍の人は都市で生活をしても都市戸籍をもらえず、医療や子どもの学校教育など満足した行政サービスを受けることができない(農村戸籍のままである)
今後は、農村戸籍の人が都市で暮らすようになった場合、都市戸籍を与えて医療や子どもの学校教育など行政サービスを無料で受けられるようにするものである
この政策では浮いた現金を消費に利用してもらうことを狙っている(内需の拡大を目指している)
中国の課題【2021年】
◆国家資本主義の独自政策を維持しながら、民間企業の活力を維持できるかが課題
2020年11月、中国ネット販売大手のアリババグループ傘下の企業の株式上場が、わずか2日前に延期となる異常事態が起こった
上場予定だった企業は、スマホで申し込まれた融資をAIを活用して実行するビジネスで、急速に事業規模を拡大させた
取り扱う資金が膨大になり、銀行などと同様の規制を受けるように当局より求められていたが、融資先の取引履歴などビッグデータを分析しAIが信用力を判断しており貸倒リスクは極めて少ないイノベーションビジネスだと表明していた
アリババ創業者のジャック・マー氏は公の場で、
イノベーションは、古い金融監督を恐れる昨日の方法で未来は管理できないと、当局の規制を時代遅れだと表明した
中国共産党では、経済分野も含めて政府の指導に従うという大原則が打ち出されており、政府の指導に公然と批判したことで、突然の上場延期は党部の逆鱗に触れたためではないかと見られている
共産党が経済を統率する方針には以前から懸念はあったが
今回の延期で、党指導のさじ加減で民間経営者の経営戦略にも影響する可能性があると
懸念が現実になったことを表している
今後次世代の新興企業は委縮して新しいイノベーションは生まれにくくなるのではないかと、自由な経済を求める外国企業から不安や不満、トラブルなど生まれるのでないかと懸念されている
今後のアメリカと中国のパワーバランスはどうなるか?!
2028年に中国がアメリカを超えてGDPが1位になる?!
IMF(国際通貨基金)では、2021年の経済成長率に関して、中国が+8.1%、アメリカ+5.1%と経済成長の見通しを発表した
米中で、コロナ禍での経済成長に差がつく
イギリスのシンクタンク(CEBR)が、予想していた2033年より5年早く、2028年にはGDPの規模で中国がアメリカを上回る可能性があると発表した
米中の関係はより厳しくなっていくようです、トランプ前大統領の頃から中国への制裁は始まっていますが、今後どのようになるのでしょうか
中国の対応 2021年1月25日習近平の発言
世界経済フォーラムオンライン会議にて、中国の国家主席である習近平国家主席が発言した内容で
”対立という誤った道を進めば、最終的には各国の利益を損なう”とアメリカにけん制する
アメリカの対応 2021年2月4日バイデン大統領が中国への外交方針を示す
トランプ前大統領に引き続き、厳しい姿勢を打ち出す
中国を”アメリカの繁栄や安全保障、民主的な価値観に挑戦する競合国”と位置づけ対抗する方針だ”と演説した
商務長官に任命されたレイモンド氏も関税の引き上げやファーウェイなどのハイテク企業に対して制裁措置を含め厳しく対応する方針を示した
米中が成長するカギはアジア!
・アジア成長の勢いを取り込めるかが今後重要なカギのひとつとなる
【中国のアジア圏への対応】
2020年、中国はRCEP(地域的な包括的経済連携)に合意した
RCEPとは、日本・韓国・アセアン諸国・ニュージーランド・オーストラリアを含む連携で、世界の人口やGDP約30%を占める巨大経済圏に加わることで、アジア経済圏での、貿易や投資を拡大できることになった
習近平国家主席は2020年11月に、TPP(環太平洋パートナーシップ)も積極的に検討すると公表した
TPPに参加するためには、国有企業への事実上の補助金を撤廃するなど、国有企業問題を改善する必要があり容易ではないが、自由貿易を促進する戦略が伺える
【アメリカのアジア圏への対応】
アメリカはトランプ前大統領がTPPを脱退した
バイデン大統領も大統領選挙が国家分断の危機のため国内優先で政策を専念していく必要があり、アジアへの対応は遅れる可能性が高い
大統領選挙で支持を受けた、製造業労働者に配慮して自由貿易協定に慎重な行動を取る必要があるためである
ただし、アジアの自由貿易に参加しなければ、アジア圏での恩恵を受けられず、自由と公正な貿易圏の拡大も停滞する可能性が高い
日本の課題
アジア圏で中国の力が強くなりすぎないためにも、アメリカにTPPに改めて参加してもらえるように促す必要がある
課題をどう対応するかで、今後パワーバランスが大きく変わってくる
中国の影響力が今後さらに大きくなることは避けることができません
如何にして、1つの国にパワーがいきすぎないようにバランスを取った状況に持っていくかが重要だと思います
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