深刻化するミャンマーの危機

時論公論
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ミャンマーで軍による治安部隊が集団で市民に被害を加えています

クーデターが起きたミャンマーでは、軍による抗議活動への弾圧が続いています

ミャンマーを巡る状況は悪化を辿っており、今月27日には軍にとって最も重要なイベントである国軍記念日の式典が予定されており、更なる弾圧が実施されるのではないかとも言われています。ミャンマーの現状と今後について考えていきたいと思います。

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3月23日時論公論~ミャンマーの軍制圧、悪化する現状と今後

ミャンマーのクーデターが起こってから2か月、軍の武力による恐怖による支配を強めている

平和的な抗議活動に対しての武力行使で、261人が死亡した

国連の人道支援団体は、死者の多くは狙撃兵に頭を打たれて未成年者15人も犠牲になったとしている

拘束されている人は2,300人を超えており、アウンサンスーチー氏を率いる政党の関係者2人は夜間に治安部隊に拘束され、翌朝に遺体で見つかった

拷問で死亡した疑いがあり、人権団体は捜査を要望している

一連の弾圧に関して、人権状況を調査している国連の特別報告者は人道に対する罪の疑いがあると指摘

長年、ミャンマーにかかわってきた外交官からも過去に例を見ない残虐な弾圧だと声が広がっている

強まる恐怖による弾圧

・報道関係者の拘束

・主要の民間の新聞は、今月17日までにすべて発行を停止

・先週から携帯によるインターネット端末への接続も遮断

情報が遮断され、情報を把握するのが困難になっている

・最大都市ヤンゴンの一部の地区では戒厳令が出された

・治安部隊による略奪が起こっている情報もある

・さらなる弾圧を恐れて避難する人が数万人に広がっている

◆国連安保理は今月3月10日に暴力を強く非難し、軍に最大限の自制を促す自制声明を出す

⇒しかしながら、ミャンマーの軍は国際的な孤立は慣れているとし弾圧を続けている

軍が権力にこだわる理由と軍の誤算

軍が権力にこだわる理由は、権力を握ってきた歴史がある

・1948年:ミャンマーが独立

・1962年:クーデターで軍が国を支配

軍の大義名分は、国家の統一。ミャンマーでは独立以来、少数民族などの国内の武装兵力との戦闘が続いていた

そして、1962年以降、半世紀にわたって権力を握っていた

“我々がいなければ、国がばらばらになる”とし、軍による制圧を正当化してきた

そのため軍が、”政治の中心にいるのは当然”としている

こうした歴史があるため、軍が政権にかかわることは当たり前だとする考えが根強い

民主化への道と軍の誤算

軍事政権を進めていたミャンマーだが、国際社会から批判を受けたため、

2011年に、軍自ら民主化を始めた。

当初、大統領は軍の出身者だった。(2016年まで)

議会も4分の1に議席が軍人に割り当てられていた

⇒軍の息のかかった政権が当面続くと期待されていた

<しかし>

2015年・2020年総選挙実施:総選挙した結果が軍の思惑と大きく離れた結果だった

2回行われた総選挙で、スーチー氏の政党が2回とも圧勝したのである

総選挙での敗北は軍にとって大きな誤算だった①

⇒軍は再び政権の中心に居座ろうとし、総選挙に不正があったとしてクーデターを実施した

そして、民主化を振り出しにできると考えていた

<しかし>

⇒クーデターのあとも、民衆の動きが軍にとって想定外だった

市民による抗議活動の予想以上の広がりも想定外だった②

⇒公務員などが職場を放棄する市民不服従運動を実施

・行政機関や公共機関がマヒして、施設が運用できない状況となった

・経済にも大きな影響を与えている

⇒軍事政権時代には二度と戻りたくないという市民の強い意思を軍は見誤った

・抗議活動で押されて妥協すれば、軍の存立基盤も揺らぐため、強硬手段に出た

<しかし>

・SNSなどで、残虐な取り締まりの映像が広がった

・国際社会から強い避難を受けることになったのも軍にとって誤算だった③

⇒軍がインターネット規制をし始めた後も、命がけで規制をかいくぐって市民たちは撮影した情報を発信し続けている

◆これから、ミャンマーはどうなっていくのだろうか。

スーチー氏の政権がクーデターで倒され、今のミャンマーには国を公正に正当性のある形で実行していく政府がいない状態となっている

軍は、軍による支配での政権運営への既成事実化を進めているが、国際的には承認されていない

拘束されたままのスーチー氏たちの政党議員は、政党を引き継ぐ臨時政府として連邦議会代表委員会(CRPH)の組織を作った。

国民を殺害する軍はもはやテロリストと同じだと非難し、国内の少数民族武装勢力にも共通の敵だと共に闘おうと呼びかける。

一部では銃を持った武装組織が市民を警護する動きも起こっている

⇒”軍と警察の暴力に苦しむ中、少数民族の武装勢力に期待する気持ちもわかるが、

武装勢力からの支援は軍に大規模弾圧の口実にもなりかねない”

⇒軍は、CRPHの活動は反逆罪に当たるとし、次々と関係者を訴追・拘束している

隣国のタイは、ミャンマーからの難民の流入への対策を始めている

⇒国家統一を目指してきた軍は、抗議活動への弾圧を強硬に行い国家分断の危機を加速させている

国際社会に求められること:対応策

国際社会として、一枚岩でミャンマーに対応していく必要がある

国際社会(関係国)の要求

◆暴力の停止

◆拘束者の解放

◆民主的体制への復帰

欧米:経済制裁

日本・アセアン諸国など直接軍にパイプがある国:軍に直接、働きかけ

⇒ 軍はこうした声に聞く耳を持たない、外交で事態打開は困難な状況

軍は、一旦は孤立してもしばらく我慢すれば、国際社会の足並みがずれる可能性があるとみている可能性がある

特に、中国は、インド洋に陸路でつながる戦略的な地理的場所にあるミャンマーとの関係を重視し、軍の支配を容認する可能性を指摘されている

⇒一方で、中国も国際世論やミャンマーの国民感情に配慮する必要がでているという見方もある

*中国も含めた関係国が連携して、一致した対応をしなければ、軍を動かすのは不可能

日本は政府関係者の派遣を見送った国軍記念日に各国がどのような対応をするのか注目される

まとめ

軍は恐怖による支配を強めていますが、国民の抵抗も根強く長期化する可能性が高いです。決して支配での政権を認めず、国際社会が一体となって軍事政権は古い制度だと、国民ひとりひとりの人権を認めるように働きかけ続けていく必要があります。

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