東京オリンピック・パラリンピックに問われること(海外観客はどうなるのか)

時論公論
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開幕まで4か月となった東京オリンピックとパラリンピックですが、未だに感染拡大のため先行きが見通せず、完全なカタチでの開催は困難で、海外からの観客を受け入れるのも難しいのではないかと考えられています。

コロナ禍で大会はどのような形をとるのか、東京オリンピック・パラリンピックを開催する意義を考えていきます。

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3月19日時論公論~東京オリンピック・パラリンピック開催はどうなるのか

3月20日 ”5者会談”が実施(予定)

*5者会談の参加者:丸川五輪大臣(政府)、小池都知事(東京都)、橋本会長(オリンピック委員会)、バッハ会長(IOC国際オリンピック委員会)、パーソンズ会長(IPC国際パラリンピック)

◆議題:海外からの受け入れの可否、東京オリンピック・パラリンピック開催に関して

これまでの東京オリンピック・パラリンピック組織委員会代表の橋本会長の意見

・安全、安心が保たれている実感がなければ開催は難しい

・感染状況や専門家の知見を踏まえて、丁寧に検討したい

⇒海外からの受け入れは困難とする見方が強まる中で3月20日の会談で結論が出る見通し

*コロナ禍での開催で、大規模の移動を実施すれば感染拡大につながると懸念されている

*やっと落ち着いてきた医療のひっ迫にもつながるのではないかと不安視されている

出場選手に関しては、今のところ東京オリンピック・パラリンピックに選手を派遣しないとする国や地域はなく選手村や競技会場のみと滞在場所を限定し、一定の制限をかければ可能ではないかとの見方もある。

公共交通機関は使わずに専用の車両で移動し、定期的にPCR検査を実施、行動に制限を設ければ感染リスクは減らせるとも考えられている。

一般の観客に対して、選手と同じような行動管理を実施するのは困難

*入国の特例措置は、国民の理解を得られないとの見方も強く入国できたとしても宿泊場所や行動範囲は観客にゆだねるしかなく完璧に管理するのは難しい

*緊急事態宣言が解除されることは決まったとはいえ、国内外で変異ウィルスへの感染は相次いでおり感染状況の先行きはいまだに不透明な状態。ワクチン接種も一気には進まず、4か月後の開催時に政府の新規入国がどうなっているのかはわからない。

海外からの観客を対象としたホテルやチケットのキャンセルを実施する時間もない。

⇒そのため、一般の観客の受け入れは困難とする見方が強まっている。

また、コロナ禍で大会開催事態に厳しい意見が多くでている。

大会(オリンピック・パラリンピック)を開催させる意義とは何か

オリンピック理念

世界から人が集い異文化の理解を深めることで平和の実現を目指す

勝敗を競うだけでなく、各国から人が集いお互いを理解しあう機会とすることが重要

⇒海外からの観客を受け入れないとすれば、一般の人たちとの交流は減る。

“さまざまな交流機会が減少し普通の国際大会と変わらないのではないか”と大会への根本的な疑問が起こる。

⇒海外からの観客を受けれないのであれば、大会開催に協力していたボランティアにも影響する。

東京オリンピック・パラリンピックを開催するために、約12万人のボランティアが会場運営や観光案内などを実施する予定で、多くが様々な交流を楽しみにしていた。

しかし、感染状況の不安などから辞退する人が既に相次いでいる。

サッカーを実施する予定の宮城県では、ボランティアを応募していた1,700人の内300人以上が辞退の意向を示している。

海外からの観客受け入れがなくなった場合、応募した人たちのモチベーションはさらに低下する可能性がある。

*完全な形での開催は難しい中、感染防止と大会開催はできないのだろうか。

⇒命や健康のために感染対策が最優先ではあるが、もともとオリンピック・パラリンピックは理念を広める運動のために実施されるもの。ホスト国として今後も理念を伝え続けることで、”不完全な”大会の形を補うこともできるのではないか。(東京都立大学の舛本客員教授)

*例えば・・・

①ホストタウンでは、選手との交流を辞めるような動きもあるが、選手と地元の人たちとの交流は今後もオンラインで継続していく活動もそのひとつ。

②森元会長や開閉会式の統括責任者による不祥事で注目された理念(女性・男性、見た目など人への尊厳)について議論を継続させることもひとつ。ジェンダーや差別、他者への尊重などが注目されるようになった。

こうした、大会開催によって活発になった活動や議論を大切にすることでも大会に意義があったと捉えることができるのではないか。

大会開催に向けた次のハードル

・無観客を含めた【観客数の上限】

⇒ 橋本会長は”早めにスケジュールを示すことが大切” 4月中に決めたいとしている。

しかし、IOCのバッハ会長は”5月か6月まで様子をみたい”と言い、暫く感染状況を見極めたいとしている。

観客数の上限は、900億円を予定している組織委員会のチケット収入にも影響し、感染防止対策にも影響するためである。

5者会談は実施されるものの、東京オリンピック・パラリンピックへの見通しを立てるにはまだ時間がかかりそうだ。

コロナの感染防止を進めつつ大会を無事開催させるために必要な課題は未だ多く残っています。4か月先の状況をはっきりと見通せない中でどのような結論を出すのか、ここまでしてでも大会を開催させる意義は何なのか、大会の理念を今いちど国民に届けることで理解を得ていく必要がありそうです。

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