~東日本大震災10年・被災者に寄り添うまちづくり~

時論公論
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東日本大震災で被災した町に対して復興支援に多額の費用を使ったまちづくりですが、空き地が目立つところや住人が孤立しているところも散見され思い通りにならなかったまちづくりもあり、どんな問題があったのか街はどうなったのか考えていきたいと思います

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3月4日の時論公論~被災者に寄り添うまちづくりとは

復興のまちづくりは、土地のかさ上げも終わり被災者用の公営住宅と一般住宅を18万戸以上が完成もしくは建築中です

にぎわいが戻ってきた町も多い中、空き地が目立つ地域も少なくありません

岩手県の陸前高田市では、1657億円を投じて300ヘクタールの土地を海抜10メートルまでかさ上げさせる工事を実施し10宅や施設の再建が進んでいますが、かさ上げさせた6割の利用が決まっておらず、空き地が目立っています

被災地全体でも、未利用のかさ上げ地が3割残っています

かさ上げは、土地区画整理事業として実施されました

なぜ【かさ上げ】地は未利用になったのか

1800人以上の命が奪われた陸前高田市では、もう二度と住民の命が奪われないまちづくり安全なまちづくりが実施されました

①工事の長期化

かさ上げは当初5メートルでしたが、10メートルまで引き上げられ巨大な工事となり、人材や人手、資材不足により予定より2年遅れが生じました

すべての宅地が住民に引き渡されたのは今年の2021年1月でした(震災より約10年後)

②被災者の意向変化

造成区画数を決めるため、住民アンケートを取って計画を立てていたが、工事に時間がかかったことによって、造成地への住宅再建を希望する住民が減っていってしまっていました

◆陸前高田市の今泉地区の計画◆

平成25年8月 338世帯

⇒平成26年10月 230世帯 ⇒平成27年10月 202世帯

市は、元々の面積より10%減らして宅地造成を取りやめましたが、それでも未利用地が7割残っている状態となってしまっています

陸前高田市は被災地の中でも、未利用地が最も多くなっています

孤立化

集団移転の予定が、1世帯のみ移転した後に、他に誰も移転してこず、孤立している状態となっています

⇒工事に時間がかかり、当初移り住むのは3年の予定がすべての家が建てられるのに7年かかり、住民が内陸の他の地域に移り住み人口が4分の1になってしまいました

⇒人口減少が進んだことで、一部では路線バスが縮小されるなど地域の存続が危ぶまれて事態になっています

⇒震災前、移転できる地域は10戸以上だったが、小さな集落でも移転できるようにしてほしいという被災者の要望を受けて、5戸以上としたことによって、小さい集落予定地が増えていました

⇒被災地全体の10戸未満は3割しかなく、引き取り手のない区画が100地区残りました

*被災者の声に寄り添おうとして、孤立化を広げてしまう結果となってしまいました

被災地の多くの市町村長が訴えている【事前復興の重要性】

災害が起こる前に、できる準備はみんなでやっておく!!っという考え方

◆立ち上がりを早めるために◆

・復興の目標を検討し、住民と共有しておく

・基礎データを整理し調査しておく

◆無駄な時間を費やさないように

・時系列で対応を整理し手順を決定させておく

・組織づくり、人材育成

徳島県の復興指針(令和元年12月)

徳島県では、震災での経験を反映させた指針を発表しています

「元々人口減少に向かっている地域では、まちを元通りに復旧しても人口減少を止められない」

とし、被災前からの復興目標を検討する必要があるとしています

*復興事業のリストアップを実施し、何をしておくべきか示せるようにしています

また、専門家を呼んで行政・住民・専門家が協力して検討を重ね、住民の意向を反映させられる調査の実施時期を検討したりしています

⇒住民主体で復興計画をまとめている地域もあります

⇒集団移転する場合の候補地を決めて、土地所有者の了解まで得ています

◆埼玉県では◆

事前復興へのイメージトレーニングを実施

被災者の立場としては生活再建計画が重要だが、行政の立場としては災害を機にまちの復興計画を実施したいと考えていて、両方の思いを受け入れながらより被災者に寄り添えるまちづくりを検討しています

被災者への丁寧な聞き取りと復興のスピード両方が求められる復興計画、被災地の境遇を全国で共有し、今後の災害に向けて備えを急いで対応することが求められています

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