~カーボンプライシング:日本と世界の環境対策~

時論公論
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政府は、2050年に温室効果ガスの排出を事実上0(ゼロ)にする目標達成に向けて、カーボンプライシングという新たな制度の導入をするべく今月から本格的な検討が始まりました

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2月23日時論公論~カーボンプライシングで日本の環境対策は進むのか?

カーボンプライシングとは何か?

カーボンプライシングとは、製造業や電力会社などの企業が二酸化炭素(CO₂)を排出した量に応じて金銭的な負担を負う制度のことです

◆案1:炭素税

炭素の排出量に応じて、税金を取る方法で炭素税とも呼ばれている

日本では2012年から同じような温暖化対策税が導入されているが、より高い税率にしたり課税する企業の対象条件を広げることが検討されている

⇒税収は環境技術開発の財源に充てられる予定

◆案2:排出量取引制度

国が主導して作成している案で、上限となる排出枠を決めて企業が上限を超過した場合、余っている企業(上限より少ない排出量)より余った分を購入する仕組みです

⇒いずれの制度も企業が二酸化炭素を多く排出した場合、それだけ金銭的な負担を負うためそうならないように、排出を抑圧させてCO₂削減への取り組みを強化させることが狙いです

企業の経済的な負担が増えれば、製品の販売価格や電力価格に転嫁され消費者への負担も増える可能性があります

⇒社会全体でCO₂排出削減の意識を高め、削減の取り組みを加速させようとしている

◇カーボンプライシングは環境省で研究され対策を検討されてきたが、今月2021年2月より経済産業省でも研究会が発足され、具体的な制度設計に向けた本格的な導入検討が実施されている

カーボンプライシング導入への背景:新制度導入への課題

◆環境対策で各国に遅れを取るわけにはいかない政府の危機意識

5年前にできたパリ協定で、気温の上昇を1.5℃に抑えることを同意した

⇒上昇を1.5度抑えるためには、2050年までに世界全体でCO₂など温室効果ガスの排出を実質ゼロにする必要がある

⇒世界120カ国以上の国と地域が2050年まで実質ゼロの目標を掲げた

また、昨年2020年9月に環境より成長志向が強いとされていた中国までも2060年までに実質ゼロにする具体的な目標年を掲げた

⇒日本政府は、中国が公表した翌月の昨年2020年10月に、それまで掲げていた「今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会」を目指すことを改めて、「2050年までにCO₂排出実質ゼロ」を公表したが諸外国に遅れを取る状態になっている

アメリカの対策

アメリカのバイデン政権は、パリ協定に復帰

4年間で日本円で200兆円を超える予算を気候変動対策に充てる方針を発表している

ヨーロッパ各国の対策

・コロナ禍での景気回復・経済対策としてグリーンリカバリー戦略を発表している

経済対策で環境関連に巨額の予算が充てられる予定

環境対策を経済の制圧と考えるのではなく、関連する技術の開発や投資を通じて経済のさらなる成長への原動力としようとしている

カーボンプライシング導入への課題

日本の現状

◆対策をしなければ、環境関連の技術で遅れを取ったり、環境対策をしていない製品として世界で日本製品が買ってもらえなくなるのではないかと懸念されている

◆政府はカーボンプライシングの制度を導入することで、CO₂の国内排出量の削減を一気に減らし排出ゼロへの意識を高めていきたいと考えている

案1の炭素税への各企業の対応と懸念

各企業は、二酸化炭素排出削減に向けて様々な対策をしている

自動車産業

・水素を利用する燃料電池車の開発

・電気自動車に導入する小型で低コストの蓄電池の開発

鉄鋼業界

・原料の鉄鉱石を還元させて鉄を取り出すのに、炭素を含むコークスを利用したくさんの二酸化炭素を排出しているが、コークスの代わりに水素を利用することで二酸化炭素の排出を抑える研究で技術開発を進めている

課題

CO₂削減のための開発には、巨額の資金が必要になるにもかかわらず、カーボンプライシング制度導入により開発に遅れが生じる可能性があると産業界は懸念している

既に石油関連製品には税金が取られており、税金が増えればエネルギーコスト等が上昇し、日本産業の国際競争力が低下してしまう恐れがあるとも指摘されている

案2の排出量取引制度の課題と懸念

・産業界ごと・企業ごとの排出枠をどう決めるのか?

・価格変動に対して、どのように対応するのか?

⇒好景気の場合には、排出量は増え排出枠の価格が高騰することが考えられる

⇒景気低迷の場合には、排出量が減り排出枠の価格も下がる

*価格が変動することで、経営計画を立てる際のコストの見通しを立てづらくなる

*企業がCO₂の排出削減を頑張れば経済的に大きなメリットになると考えられるような制度にすることが重要である

カーボンプライシングの世界的な課題

・カーボンプライシングを導入している国と導入していない企業との価格差

⇒カーボンプライシングがある国は割高、ない国は割安になることが予想されている

⇒アメリカやEU、ヨーロッパ連合からカーボンプライシングを導入していない国からの輸入に増税し関税を上乗せするなど国際的なルール作りを求める声が上がっている

⇒日本は、国際的なルール作りで不利にならないように乗り遅れないようにすることも重要

環境への対策が一気に進んでいく可能性が高まっており

日本は世界の動向に乗り遅れないように、対策していく必要がありそうです

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